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第80回公演

シャッター通り商店街

 
作・高橋正圀 演出・平野礼子

あらすじ

 

​ 舞台は、シャッターが次々と閉まり続けている<すずらん通り商店街>

 この状況を脱すべく商店街の豆腐店・緑と惣菜店・茜の小母さん方は、喫茶店のマスター・猪四郎を巻き込み、五年ぶりに帰って生きた猪四郎の次男・辰次のカレー店創業計画を機にタウン誌を刊行し、商店街再興を目指そうと奮起する。

 緑や茜だけでなく、地元の信用金庫職員・小鳥遊や小学校教師の雅子、農家の若者・信夫、さらには、東京から越してきたばかりの由紀絵も加わり、再興に向けた活動は熱を帯びていく。

 そんなある日、帽子店を閉じた徳蔵が……。

 商店街や街の活性化にご尽力されている方々の応援に少しでもなれれば、と願う人情劇です。

 「つなぐ」ということ     

           代表 安部信子

 昨年、劇団山形は創立五十周年を迎え、皆さんと共に喜び合うことが出来ました。支えていただいた多くの方々にあらためて感謝申し上げます。

 私が劇団に参加したのは創立七年後ですが、そのころはまだ世の中は「芝居」をする人々に好意的という雰囲気ではなかったように思います。年次休を取ることも、チケットを売ることも、稽古場を転々としての稽古も大変でした。もちろん今も仕事の関係で劇団活動に参加できない人はいるし、全員が揃っての稽古も数えるしかできない状況ですが、世の中は大きく変化しました。「芝居」を楽しむ余裕が出て、色々な形で応援してくれる人々がいます。装置製作に手を貸してくれる人、チケット売りに協力してくれる人、頑張れと声をかけてくれる人たちがいます。それらが私たちには何よりの励ましであり、色々な形で多くの人達が劇団を今日まで「つなげてきた」ことを感ずるのです。

 五十年を期に創立以来劇団を牽引し続けて来られた松井光義氏が顧問となり、代表を交代しました。演出を長年担当してきた松井氏に代わり、「くちづけ」「闇に咲く花」に続き今回、平野礼子が着実にその力を発揮し、演出を担当しています。劇団にとっては大きな「つなぐ」を継続できた思いです。

​ 会場に足を運び、生のものに触れて得る感動を私たちは大切に、今後も劇団活動をつなげていきたいと思います。どうぞ、今後ともこれまで以上に劇団山形を支えて下さいますようお願い申し上げます。

【キャスト】

 

西条猪四郎

   >> 五十嵐康博

西条寅太

  >> 志鎌和典

西条辰次

  >> 神保弘毅

岩田緑

  >> 伊藤祥子

杉浦茜

  >> 中村昌子

坂元信夫

  >> 石山浩行

山村徳蔵

  >> 角川博道

雨宮泰平

  >> 伊藤尚彦

新藤由紀絵

  >> 安部信子

小柳萌

  >> 髙橋 紫

兵藤雅子

  >> 平野礼子

榎 昇

  >> 宮崎克強

小鳥遊真紀

  >> 堤 玲子

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 「シャッター通り商店街」を上演するにあたって     

           演出 平野礼子

 シャッター通り商店街に生きる人々がいる。

 シャッターを閉じても人々の生活は続く。この町を再生し、この町で生きようとするもの、時代のうねりにまかれて郊外のショッピングセンターに望みをかけるもの。はたしてどちらが正しい選択なのだろう。其処に葛藤が生まれ、そしてこの問題に絶対的な正解はない。だからこの脚本には、明確な思想の方向性も、それと分かる善悪の区別も描かれない。商業主義、都会志向。結果「らしさ」を失って求心力を無くし、シャッター通りと化した地方の小都市。その再生の現状を描くこと、それ自体が問題提起でありテーマかな…………なんて偉そうに書いていますが、実は私のようなショウモナイ演出にとっては「悪代官」と「町娘」とか、「地上げ屋」と「住民」みたいな、分かりやすいヒーローとヒールが登場する水戸黄門風勧善懲悪、裏切りやハラハラするすれ違いあり、そして涙からの大団円……みたいな芝居じゃないと手におえないのです。が「役者がなんとかしてくれる」それが劇団山形式作劇法ですから、観客の皆様はどうぞご安心ください。

 一応、演出ぶって台本を繰り返し読むうちに、いよいよ善悪の区別が曖昧になっていくような感覚。何度も大量生産・大量消費という言葉が出て来て、悪者みたいに言われてる。けど、戦後の栄養不足を補い、庶民のテーブルを少し贅沢に温め、主婦を家事から解放し、戦後の経済成長を支えたのは、まさにこの大量生産・大量消費であったことを思うと、豊かさに裏付けられた、ロハスだのスローライフだのスローフードだのオーガニックなんかはおしゃれな贅沢品なのだと思ったりもする。様々なテクノロジー、スピード化、大量生産によるローコストがなければ、そういう素敵で特別な贅沢品はただの原始生活みたいなものだし(……昔はみんな、嫌でも手作りでしたよね……)その時代その時代にとっての正義みたいなものは屹度これからも変わっていくのだろうけど、簡単に白黒つけずに、物事を多面的、相関的に見て、幾つも選択肢が用意できたら、とてもよい形で私たち前進できるのかなと思う。そういう意味で、一面の真実を持ち寄る善人たちばかりのこの芝居の意味が少し見えるように思うのです。

【スタッフ】

 

演出・・・       平野礼子

舞台監督・・・     平野礼子

制作・・・       伊藤祥子

志鎌和典

安部信子

松井光義

佐藤里紗

伊藤尚彦

向田朋子

舞台装置・・・     澁谷常義

小山哲夫

古林嘉弘

角川博道

金子与志春

片山賢司

音響効果・・・     池田 司

照明・・・       武田正気

小道具・・・      神保弘毅

五十嵐康博

中村昌子

衣装・・・       堤 玲子

髙橋 紫

 ≪ 協力 ≫        阿部 満

(カフェドりぶる)

久我由紀

(アンドー洋装店)

山形南高校書道部

渋谷良二

渋谷利信

安部孝子

​金谷礼子

80show

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